一般社団法人インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)は、2023年9月26日、「保護者に聞いた!『子どものスマホ、大丈夫?』~アプリ、セキュリティ、フィルタリング、マイナンバーの考え方~青少年のネット利用の現状、保護者の意識を把握し、より良いネット環境を実現しよう!」と題した緊急アンケート結果を発表しました。
本調査の目的
GIGAスクール構想が実現し、子どもによるネットの利活用が必然の状況となっています。ネット利用の低年齢化も進展し、現在はスマホやタブレットなどを既に幼児も利用しています。このような現状において子どものネット利用について保護者がどのような意識を持っているのかを調査したので、その結果を公表します。
当法人は、ネットにおける青少年の保護を責務の1つと考えています。今回の調査では、乳幼児を含めた子どもが広くネットを利用する現状において、その保護者からセキュリティやフィルタリング、マイナンバーに至るまで、意見を聞きました。今後、青少年を取り巻くネット環境に対し、大人が、社会がどのように取組んで行けば良いのか、本調査結果が参考になることを期待しています。
子どもによるネットの利活用を考えていく上での基礎資料として、ご活用いただければ幸いです。
調査概要
調査対象: |
乳幼児、小学生、中学生、高校生までのフィルタリング対象年齢となる子どもがいる保護者
(*複数人子どもがいる場合は、末子の年齢を対象とし、末子の状況に基づき回答。)
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調査エリア: |
首都圏及び関東近郊 |
サンプル : |
以下、区分の末子がいる保護者(男女)各200 サンプルを目標に収集
計2,517サンプル
3歳以下/4~6 歳(未就学)/小学1~3 年生/小学4~6年生/中学生/高校生
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調査方法: |
Web アンケート調査 |
調査期間: |
2023 年7月下旬 |
■ 引用・転載について
本調査報告書はご自由に利用いただけますが、その場合、データ数値の改ざんは、本報告書の内容ではないので、禁止といたします。また、調査元としての当法人の名称の表示はお願いします。
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■ お問い合わせ先
本調査に関する問い合わせは以下まで。
https://i-roi.jp/contact/
調査結果概要(本調査からの抜粋です)
Q2. お子様向けスマホを選択する際に重視する点は何ですか?
(上位3つまで複数回答)
【ポイント】
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子ども向けスマホを保護者が選択する際に重視するポイントは、「値段(端末・通信費双方含む)」が65.2%で最も多かった。家計を重視する傾向は高い。
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次いで、「セキュリティが担保されている(ウイルス感染の可能性が低い)」が36.0%であった。保護者のセキュリティ意識の高さを伺うことができる。
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3位は、「使用・利用状況・課金が確認・制限できる」28.7%、5位「プライバシーが担保されている(個人情報の取得や共有に一定のポリシー制限がある)」22.6%と、セキュリティと同様に保護者の子どもへの見守り意識の配慮も重視するポイントとして高くなっている。
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そのほか、20%以上だった項目は、4位「デバイス自体が堅牢で壊れにくい」27.8%、6位「家族と同OSである」22.0%となり、壊れにくいは製品の性質上、価格面などで重視される傾向にあり、一方、OSが同じという意見は、使いい勝手の共有という側面があると考えられる。
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子どもの区分別でみると、「値段」に関しては、年齢区分が上がるにつれ重視ポイントが高くなり、保護者としてはスマホの利用が多くなるため、意識が高く向く傾向にある。
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全体でセキュリティ、利用制限、プライバシー担保での保護者意識が高かった項目で、高校生になると、全体平均より大きくポイントを落しており、この時期にある程度子どもに任せる子離れ傾向が現れている。
Q3-1. お子様向けスマホにアプリをダウンロードし利用する際に以下の点をどの程度重視しますか?
【ポイント】
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アプリをダウンロードする際に重視する点を項目別にみたところ、最も重視するのは「料金発生・課金の有無」で、85.0%(「非常に重視する」+「ある程度重視する」)であった。スマホ選択同様、支出は大きな問題となっている。
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次いで、「有害・詐欺的なコンテンツ・他者との接触の可能性」84.1%、「プライバシーの保護」81.5%、「セキュリティの担保(例:ウイルスに感染しないこと)」81.0%と続き、「そのときによる」の値を加えると、100%近くなり、安心安全に対する意識重視の意見が多い。
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「コンテンツの対象年齢(年齢との相応)」63.8%、「アプリストア上でのレビュー・レーティング」53.8%と、有害、セキュリティ、プライバシーに比べると決して高くない数値だが、満遍なく子どものアプリダウンロードには目配せしていることが窺える。
Q4. お子様向けスマホにフィルタリング機能を使用・設定していますか?
【ポイント】
- フィルタリングの使用率は、全体で50.8%であった。
- 年齢区分別にみると、「3歳以下」が最も低く33.2%、次いで「高校生」37.1%となっている。
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高校生のフィルタリング使用率が低いことは想定内であるが、「中学生」以下で年齢が低くなるほど、使用率が低くなっていることがわかった。親などからのお下がりスマホ利用の影響などが考えられるが、この理由については継続的・追加的な調査がのぞまれるところである。
Q5-1. お子様向けスマホで利用するアプリのダウンロードは、誰が行っていますか?
【ポイント】
- アプリのダウンロードは、「保護者が行っている」45.7%、「子どもと一緒に行っている」21.5%、「保護者が許可し、子どもがダウンロードしている」18.5%であった。「子ども自身」は14.1%と最も少なかった。
- 勿論、年齢が高くなるにつれ保護者の手を離れる傾向にあるが、「高校生」でも5割以上は保護者が管理している。
Q7. 「デジタルシティズンシップ」に関連して重要だと思う点を教えてください。
(複数回答)
【ポイント】
- 子どもたちがスマホを賢く活用するため(デジタルシティズンシップ)に重要だと思う点は、「危険やトラブルを回避し、安全に利活用するための判断力や対処する力」が51.3%と最も高く、保護者の「安全」に対する意識が高いことが窺える。
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「デバイス上のアプリケーションを使いこなす力」は34.1%であった。これは「安全」に比べて15%以上低く、「デバイス(機器)を使いこなす力」に比べて10%以上低い。子どもがアプリケーションを使いこなせるようになることが「どのような意義を持つのか」という点について、保護者への情報提供を促進していくことが課題といえるであろう。
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