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法令(法律)と利用規約(公式ルール)の違い

1.利用規約(公式ルール)と法令(法律)の効果の違い

「法律」とは、社会生活を規律するルールで、国が定め、国による強制力があります。これに、国の行政機関が制定する命令や地方公共団体の制定する条例や規則を含めて、「法令」と呼ばれています。

「規約」もルールですが、民間の関係者間で協議して決めたものをいいます。

フリマアプリを例にとると、商品などを出品する売り手と、購入しようとする買い手は、その舞台となるフリマアプリという団体が定めるルール、つまり、そのフリマアプリの利用規約に同意してからでなければ、それぞれが利用・参加できないという仕組みになっています。

2.利用規約と法令(法律)はどちらが優先されるの?

法令に抵触しない限り、利用規約が優先すると考えられます。法令には強制力がありますから、法令で禁止されていることを規約で容認しても、やはり禁止であることに違いありません。ただ、法令に規定がなかったり、規定はあっても、規約で任意に決めても構わないものであれば、規約が優先することになります。

事業者の定める利用規約は、そもそも法令の強行規定に準拠して(沿って)いますし、利用規約に「法令又は本規約に違反した場合」には、ユーザー登録の取り消し・利用停止もあり得ると書かれているようですから、利用開始(利用登録)時に同意した規約に従うといいでしょう。

3.契約書を交わさなくても契約は成立するの?

日本には、憲法のほか、こういうことをしたら犯罪ですよという刑法や、市民生活の基礎となるルールを定めた民法という法律などがあります。この私人間の関係を規律する民法では、売り手が商品を買い手に引き渡すことを約束し、買い手は、売り手にその代金を支払う約束をすることを、「売買契約」というと規定しています。また、片方の思いと相手方の思いが合致する(合意)ことを「契約の成立」といい、これらをあわせて「売買契約が成立する」としています。つまり、契約書などの書面がなくとも、合意があれば成立します。もちろん口頭だけでも、紙面上でも、ウェブページ上でも、どのような方式であってもよいことになっています。

ただ、目の前に商品と相手がいればいいのですが、物理的に離れている相手とは、手紙など瞬時に合意することが困難なときがあります。そこで令和2年4月1日に始まる改正民法の規定では、売り手が商品を出品した場合、買い手がその金額でその商品がほしいと承諾する手続きをした場合、その意思が売り手に伝わった時に売買契約が成立することになっています。手紙だと多少時間がかかりますが、ウェブページ上であれば、売り手に承諾したことがわかる状態(発信ではなく到達した時点)になれば、その瞬間に成立します。ただし、いつ契約が成立するかは、それぞれの利用規約に規定があり、その規定が民法に優先します。

たとえば、メルカリの利用規約によれば、「購入者(買い手)が(売り手から)出品された特定の商品の購入完了手続をした時をもって、当該商品の売買契約が成立するものとします。」としています。買い手は、その商品がウェブ上の説明通りであったかの確認をして、出品者を評価をすることにより、「完了手続」となるようです。

また、口約束だけだと、商品説明や取引の詳しい内容や条件などの証拠が残りませんが、PC上で取引の機会を提供している事業者のウェブページであれば、そこに取引内容や商品の詳細な証拠が残りますから、契約の成立とその内容を証明する効果があるといえます。

4.事業者が複数ユーザーと取り交わす利用規約(約款)

個人が不要品などを売買するフリマアプリとは、売り手がフリマアプリ上に売りたい商品を出品し、買い手は自分の気に入った商品を見つけ、買いたいのであれば提示された金額で購入する約束をして、利用規約に従い、その代金またはその代金に運営会社の手数料を足して、フリマアプリ運営会社に支払います。この代金は直接売り手に渡らず、一度運営会社が預かるようになっています。

その後買い手は、売り手から宅配便やコンビニなどに届いた実物の商品を手元で確認し、問題がなければ、運営会社は預かっていた代金から手数料を差し引いて、売り手に代金を払い込みます。これで一連の売買契約の手続きが終了するという仕組みです。

運営会社は、ユーザーである売り手・買い手と、このような仕組みにより商品と代金が安全に行き来するように、それぞれと利用規約という契約を交わしています。この契約は、いちいち利用契約書を作成するという方式を採らず、あらかじめ定型的な内容が定められている電子的な定型約款に同意するという方法で行っています。

5.利用規約に違反した場合、法令(法律)に違反した場合の違い

民法では、売買契約が成立すると、買い手は商品代金を支払う義務が生じます。売り手は買い手に商品を渡す義務が発生し、これらの義務を果たすことを義務の履行といいます。ですから、商品を購入し、商品を受け取って確認したら、買い手は代金の支払い義務の履行をしなければなりません。この義務の履行をしなければ、場合によっては契約は解除されて、買い手には商品は届かず、売り手はせっかくの売り時を逃してしまうことになります。売り時を逃せば、それに関連して損害が発生するということになります。

フリマアプリの利用者は、フリマアプリを利用する際に、利用者登録をして運営会社の利用規約に同意しているのですから、利用規約に違反した場合には、それなりのペナルティーが科せられることになります。

利用規約では、「禁止されている行為」などとして違反する行動の例と、それに対する運営会社が行う注意、アカウント停止等を明記しています。

また、法令や規約には違反していないつもりで、知らず知らずの間に偽札で支払ってしまったなどという場合には、それを取り締まる法令が適用されることになります。

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