売買は原則自由ですが、たとえば「医薬品」を販売しようとする場合には、国民を守るという意味で、法令(薬機法・旧薬事法など)による許可がなければ販売することができません。「医薬部外品」は「販売」にあたっての許可は不要ですが、医薬部外品を輸入したり、「製造」するには許可が必要となります。ですから、製品を勝手に売り手が少量ずつに小分けして商品として販売することは、製造に近いと判断される恐れがありますから注意が必要です。
また、「化粧品」や「サプリメント」の場合、「人体に対する作用が緩和なもの」と法令に規定されているので、ウェブページ上で、宣伝文句として効果効能を謳うにも制限があります。劇的な効果があるなどの説明はおろか、範囲を超えた商品説明を表示することはできません。一方、「医薬部外品」には、「有効成分」としてその成分名や効果効能が表示できます。
なお、手作り石鹸など、オリジナルの商品を製造販売するにも、原則として許可を取る必要があります。そのためフリマアプリでは、手作り石鹸を「化粧品」として販売せず、効能は謳わず、あえて「雑貨」として出店している例もあるようです。ウェブページに掲載する文言は、細心の注意が必要な個所の一つだといえます。
フリマアプリやネットオークションでは、その販売経験や実績がどのくらいあるのかなど、出品者の本人確認が不十分な面があるため、利用規約によって販売できないと指定されている商品であっても、出品者が理解せずに出品されることがあります。出品者ページとよばれるウェブページに、著作権を侵害する海賊版のDVDや違法薬物、偽ブランド品(偽物と謳っている場合も含む)、また、本物であっても、拳銃などその所持が違法な物や転売目的のチケット、真正な株券なども出品禁止物に該当しますが、そのことを知らずに、またはあえて出品されてしまうことが考えられます。
運営会社は、利用者とそれぞれ利用規約を締結して、ウェブページを利用者に提供することにより、売買などの機会を提供しているだけですから、このような売買があったとしても直接の加害者にはなりません。運営会社としての責任は免れませんが、あくまでも違法出品の管理は、売り手側の責任ですから注意が必要です。このことを運営会社が把握すれば、その商品をウェブページから削除するなどの対応があり、出品者にはそれなりのペナルティーはあると思いますが、未成年に違法薬物が渡るなど、買い手に実際の被害が生じた場合、経済的にも社会的にも責任を負うことになります。
出品された商品が盗品だった場合、まず、出品者がそのことを知っていたかどうかが問題となります。自らが盗んで出品すれば、盗んだこと自体も問題ですし、それを出品すれば、それぞれ窃盗罪や盗品等関与罪という刑法の規定に抵触し、規約違反にとどまらず処罰の対象となります。
また、盗品であることを知らなければ防ぐこともできませんが、特段あやしいとか、一般的な能力で注意することは求められていると思います。
法律用語ですが、「公序良俗」という言葉があります。国である公の秩序と社会の一般的な道徳観念である善良な風俗を表しています。売り手は、法令に抵触したり、未成年に害を及ぼしたりするような商品の販売はできず、利用規約によって出品してはいけないことになっています。
漠然とした言葉ですから、具体的な商品の判断となると難しいですが、運営会社もパトロールしていて、明らかな場合には商品を削除しているようです。「この商品は出品できますか」といった個別の質問には、運営会社は回答してくれないこともあるので、公序良俗に反する商品かもしれないと不安に思う時は、自ら出品を避けた方がよいでしょう。
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